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    C&S ニュースレター

      C&S ニュースレター No.46
      • Date2023/06/28 18:26
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      • 均等範囲の判断要件に関する新たな大法院の判例紹介
      • デザイン保護法の改正案の主な内容及び解説    
      • 自動運転車の感知器(センサ)融合技術の特許出願、韓国企業善戦 
      • 幹細胞技術の特許出願、韓国成長率2位 
      • C&Sニュース

      • 均等範囲の判断要件に関する新たな大法院の判例紹介    _弁理士 ファン・ウテク

      [大法院2023.02.20. 宣告2022フ10210 判決権利範囲確認(特)]
      1. 概要
      最近、大法院(2022フ10210)は、権利範囲確認審判における均等物判断において、通常の技術者がこの事件特許発明を確認対象発明に変更することが公知技術から容易に想到し得るか否か、ならびに特許庁審査段階における補正と意識的除外の有無に対して詳細に判示した。このような判決は今後、権利範囲確認審判または侵害訴訟における均等物有無の主張において多くの示唆点になると思われ、紹介する。

      2. 権利範囲確認審判または侵害訴訟における両当事者の主要争い事項
      一般的に、権利範囲確認審判または侵害訴訟において、確認対象発明(実施物、侵害物)は、特許発明とその構成が文言的に同一でないため、両当事者は上記確認対象発明が特許発明の均等物であるか否かに対して争うようになる。
      この場合、上記確認対象発明が特許発明の均等物であるか否かは、課題解決原理の同一の有無、目的及び効果が実質的に同一であるかの有無、このような変更が通常の技術者が公知技術から容易に想到し得るものであるか否か、意識的除外の有無、公知技術の有無によって決定される。
      特に、両当事者はほとんどの特許発明を確認対象発明に変更することが公知技術から容易に想到し得るか否かと、特許庁の審査段階における補正と、意識的除外の有無について激しく争う場合が多い。

      3. 大法院判決(2022フ10210)の主要内容
      1) 構成変更の容易性の有無
      この事件に関して、大法院はこの事件審決時に、この事件特許発明の構成が広く知られているものであるか否かと、変更された構成の製造または設計方式が知られているものであるか否か、変更された構成の結合または置換が技術的に容易であるか否か等を検討して、通常の技術者が特許発明のダパグリフロジンを確認対象発明のダパグリフロジンホルメートに置換することに困難性が伴わないと判断され、通常の技術者がその構成を変更することは公知技術から容易に想到し得る程度であると認められると判示した。
      2) 意識的除外の有無
      この事件に関して、大法院は、出願過程において請求範囲の減縮が行われたという事情だけでは、減縮前の構成と減縮後の構成を比較して、その間に存在する全ての構成が請求範囲から意識的に除外されたと断定すべきではなく、拒絶理由通知書に示された先行技術を回避するための意図として、その先行技術に示された構成を排除する減縮を行った場合などのように、補正理由を含んで出願過程で表された様々な事情を総合してみると、出願人が或る構成を権利範囲から除外しようとする意思が存在すると認められる場合にこれを認めることができるという従来の大法院の判決を引用しながら、この事件特許発明の出願過程において、出願人である原告が、この事件第1項発明の請求範囲の末尾に記載されていた「プロドラッグエステル」を削除する補正を行ったとしても、この事件第1項発明の請求範囲から確認対象発明のダパグリフロジンホルメートが意識的に除外されたとは考えにくいと判示した。

      4. 結論
      O 権利範囲確認審判または侵害訴訟で特許発明を確認対象発明(実施物、侵害物)に変更することが公知技術から容易に想到し得るか否かに関しては、一般的に両当事者は通常の進歩性の判断基準に基づいて主張しているが、上記大法院は該当技術分野の様々な技術的観点を総合して判示している。
      O 上記大法院の判決は、権利範囲確認審判または侵害訴訟で特許発明の意識的除外の基準を出願人が或る構成を権利範囲から除外しようとする意思が存在すると認められる時に、これを認めることができると明確にその基準を提示している。
      O したがって、上記大法院の判決は今後、弁理士や企業が権利範囲確認審判または侵害訴訟の均等物の有無に対する争いに対応の際、大きく役立つものと思われる。

       


      • デザイン保護法の改正案の主な内容及び解説  _弁護士/弁理士 イ・ジョンウォン

      デザイン保護法に関する改正案が最近通過し、改正案の実行時に実務に大きな変化及び改善が予想される。
      以下では、改正案の主な内容について紹介する。

      1. 改正案の導入背景
      企業は、製品の発売後、製品デザインを一部改良または変形して後続製品を開発・販売しているが、関連デザインとしてデザイン登録出願を行うことができる期間が基本デザインのデザイン登録出願日から1年以内に制限されており、デザイン登録による後続デザインの保護に限界があった。
      また、デザイン出願の優先権を主張するための方法、手続き等が主要国に比べて制限されているため、デザイン権者の権利保護に困難があり、出願したデザインに対する新規性喪失の例外を主張することができる場合が限定的に規定されていることから、従来のデザイン保護法の内容が権利範囲確認審判、侵害・無効訴訟などの紛争において権利者にとって却って不利に作用する場合も多かった。

      2. 代案の主要内容
      1) 関連デザイン出願の期間拡大
      本改正案の主要内容は次のとおりである。関連デザインのデザイン登録出願期間を基本デザインのデザイン登録出願日より1年以内から3年以内に拡大し、関連デザインの登録要件を明確に規定した。これによって、企業が製品の発売後、市場の反応を考慮してデザインを一部改良した後続製品を発売する場合にも関連デザインの出願によって権利範囲を確保し、持続的な模倣や侵害を防止することができる道が拓けた。
      2) 新規性喪失の例外主張の適用拡大
      また、デザイン登録の要件に関し、新規性喪失の例外に対する主張及び書類提出の時期を規定した手続的条項を削除した。また、共同創作者のほかにデザイン登録が受けられる権利を共有するようになった承継人も共同でデザイン登録出願ができるように関連条文が整備された。
      3) 優先権主張の要件緩和
      一方、条約によるデザイン登録出願に関し、優先権を主張した者が正当な理由により期間内に優先権主張ができない場合、その期間を2か月追加付与し、優先権を主張した者が正当な理由により期間内に書類または書面を提出できない場合、その提出期間を2か月延長した。さらに、優先権を主張した者は、デザイン登録出願日から3か月以内に当該優先権主張の補正または追加をすることができる。

       


      • 自動運転車の感知器(センサ)融合技術の特許出願、韓国企業善戦

      完全自動運転に必要なセンサ融合技術の特許出願において、韓国が世界で2位を占めた。特許庁は特許分野の先進5か国(韓国、米国、中国、ヨーロッパ、日本)に出願した特許を分析した結果、自動運転車両のカメラ・ライダー感知器融合技術の特許出願が最近5年間で年平均33.6%大きく増加したと明かした。

      完全自動運転を実現するためには、周辺環境を正確に認識するセンサが必須である。ライダーは、3次元空間での正確な距離情報を提供することはできるが、カメラのような正確な色相及び形態は提供できない。「カメラ・ライダー感知器融合技術」はカメラとライダー情報を融合して自動運転の信頼性を高める技術である。各センサを補完することができて、4段階以上の完全自動運転車両に用いられる。

      出願人の国籍は、米国が42.3%(338件)と最も多く、韓国は16.1%(129件)で2位を占めた。中国は14.4%(115件)、イスラエルは10.9%(87件)、日本は7.6%(61件)と後に続いた。出願人の国籍別の年平均増加率は、韓国が40.8%と最も高いことが分かった。特許庁は、自動運転技術全般の特許出願競争が激しくなるものと見て、今後の特許動向情報を提供するなど技術開発を支援する方針であると明かした。

      < 出願人の国籍別の特許出願動向(2016~2020) >

      出所:韓国特許庁報道資料(2023-05-07)

       


      • 幹細胞技術の特許出願、韓国成長率2位

      幹細胞技術開発のための各国の努力が続いている中、韓国の年平均増加率が2位を記録し、着実に成長中であることが分かった。幹細胞は、高い増殖力と自己再生能力を有しており、人体の全ての組織や器官への分化が可能な未分化細胞を指す。

      特許庁は、主要国特許庁IP5に出願された特許を分析した結果、最近10年の間に幹細胞分野の出願量は年平均4.6%ずつ増加して2020年の特許出願量は2011年に対して約50%増加したと明かした。

      出願人の国籍統計によると、最近10年間、1位は米国が38.5%と最も出願が多く、2位は中国15.0%、3位は韓国12.7%、4位は日本11.4%とその後に続いている。

      特許庁は、無限の潜在能力を持っている幹細胞技術の発展可能性は未知数であるとはいえ、ますます競争が激しくなっている幹細胞関連分野で韓国企業と研究所が特許競争力を確保し、市場を先取りできるように、高品質の特許審査と情報を提供するために努力すると述べた。

      < 出願人の国籍別の特許出願動向(2011~2020) >

      出所:韓国特許庁報道資料(2023-06-04)

       


      C&S ニュース
      * 2023国際商標協会(INTA)の年例会議参加   

      特許法人C&Sのヨム・スンユン代表弁理士、イ・イフン代表弁理士、イ・ソンドンパートナー弁理士、キム・テヒパートナー弁理士は、5月16日(火)~20日(土)にシンガポールで開催された国際商標協会INTA (International Trademark Association)の年例会議に参加しました。INTA年例会議は、最も広く知られたグローバルIPサービス行事として、世界各国の弁理士及び知識財産分野の専門家とIP関連企業及び機関関係者らが1年に一度集まる大規模の国際会議です。特許法人C&Sは、今回の行事を介して様々な国の知識財産専門家と最新動向及び法制度の変化に対するコミュニケーションを行い、海外代理人と緊密な協力関係を構築しました。今後も様々なIP関連行事に参加して、積極的な交流により最高の知識財産サービスを提供致します。

      * 弁理士増員のお知らせ
      特許法人C&Sでは、機械及び金属材料分野の弁理士を新たに迎え、業務力量をさらに強化致しました。今後も有能な人材確保に積極的に取り組み、これまで以上に上質なサービスをご提供できますよう努力致します。

      氏名

      部署

      経歴

      イ・ボンジュ

      機械部

      53回弁理士試験合格

      仁荷大学  機械工学科卒業

      HAEUM 特許法人勤務

      特許法人太平洋勤務

      シム・ヨンギョン

      金属材料部

      57回弁理士試験合格

      延世大学  化学科卒業

      HAEUM 特許法人勤務

      ノ・ウソク

      金属材料部

      58回弁理士試験合格

      光云大学  化学工学科卒業

      KIP 国際特許法律事務所勤務